『A Magazine Curated By』は、『CURATED FOR』シリーズの第5弾として、「メゾン シャトー ルージュ(Maison Chateau Rouge)」の共同創設者兼クリエイティブ・ディレクターであり、「Union de la jeunesse internationale(United Youth International)」の創設者である、パリを拠点に活動するセネガル系フランス人デザイナー、ユスフ・フォファナ(Youssouf Fofana)をゲスト・エディターに迎える。
本書は「ジョーダンブランド(Jordan Brand)」の協力、支援のもと制作されており、作者がクリエイティブディレクションを担当する展覧会企画「Summer of Basketball Culture」と「District 23」の開催に伴い刊行された。本号は、パリ18区を舞台に、アフリカのディアスポラ、特に作者がルーツを持つセネガルや西アフリカに関連するクリエイターたちを探求し、スポーツと文化の共有がいかにしてコミュニティを生み出すことができるかを考察する。
本誌は、レオン広場で開催されるインターアフリカン・フットボールの試合や、通りすがりの観客に手作りの工芸品や食べ物を販売する中年女性たちの様子、セネガルの手工芸、織物、刺繍の探求、そしてフランスの伝統料理に新たな視点を加えたものを通じて、フランスのアイデンティティの統合に関する概念を探る。また、移民の子供たちがパリと故郷の二つの文化を融合させ、独自の創造表現を生み出している様子も描かれている。
作者にとってパリ18区は、「新しいフランス」、あるいは「本当のフランス」を象徴する。モンマルトルのふもとを中心としたデザインやアートの動きは歴史的に文脈化されており、この地域は長年にわたりパリのクリエイティブ・コミュニティの拠点となっている。作者は、多くのクリエイターやコラボレーター、アーティスト、写真家、デザイナー、ミュージシャン、アスリート、シェフ、歴史学者、起業家など、グット・ドール地区で時間を過ごした人々を招いている。
本誌の根底には、西アフリカ、北アフリカ、そしてパリの文化間の対話があり、これは様々な形で表現されている。例えば、映画監督のラマタ・トゥライェ・シー(Ramata-Toulaye Sy)は、自身の映画『Banel & Adama』のスチル写真や、新しい詩、友人への手紙を通じて「メティサージュ(métissage、フランス語で異種交配という意味)」を解釈している。
写真家のアクセル・オーレジャック(Axel Auréjac)によるフォトレポートは、パリ・アフリカンカップにおいて、スポーツをディアスポラの社会現象として記録している。ピッチで活躍する作者にとってのヒーローたちのポートレートが随所に挿入されており、サッカー史家のハーレム・ラミン(Harlem Lamine)によるエッセイも併せて収められている。
アニー・ヴァレット(Annie Vallet)は西アフリカの布地と刺繍の技術を調査し、中には有名なデザイナーや仕立て職人である「Xulybët」、「Laye Mar」、アレクサンドル・ゾンゴ(Alexandre Zongo)のアトリエを紹介しており、伝統的な仕立ての口述歴史と現代ファッションが融合したものとなっている。
写真家のマヤ・イネス・トゥアム(Maya-Inès Touam)は、ディアスポラ料理の多様な側面と伝統的なフランス料理との対比を探求し、グローリー・カベ(Glory Kabe)、ディアディエ・ディオバナ(Diadié Diombana )、モリー・サッコ(Mory Sacko)らシェフのお気に入りの食材を、超自然的な静物画の中に配置している。
伝説的なラップ集団「La Sacred Connexion」の創設メンバーであるハルーン(Haroun)は、18区での個人的な体験を親密な詩で語り、この地域のリズムと雰囲気を再現している。
社会学者ムスタファ・ベルホシン(Mustapha Belhocine)によるマニフェストでは、18区の象徴であるデパート「タチ(TATI)」を含む地域の象徴的存在について具体的に解説する。同様に、ルー・アスス(Lou Assous)と作者の対話では、「タチ」が地元の家族にとって持つ思い出と意義について振り返る。
イリェス・グリエブ(Ilyes Griyeb)とエヴァ・ディアロ(Eva Diallo)が撮影した二つの風景シリーズは、セネガルからモロッコまでフランス語圏の国々を繋ぐ植民地主義の名残を想起させる。また、アーティストのマリアンヌ・コスタデ(Marianne Costade)によるセルフポートレートとジャマル・サカ(Djamal Saka)の作品では、アフリカ社会における髪の歴史的役割とその進化を、自己表現と遺産の再発見の手段として描いている。
さらに、自身の移民文化を取り入れた作品を通じて古典的なフランス芸術の概念を覆し、新ヌーヴェル・ヴァーグを代表する、一群の若手現代アーティストを紹介しており、ロイック・ムフォンドゥ(Loick Mfoundou)、モヤ・ディオマンデ(Moya Diomande)、マティ・ビアイエンダ(Maty Biayenda)、ヤンマ・フォファナ(Yanma Fofana)、イネス・ディ・フォルコ・ジェムニ(Inès di Folco Jemni)、ウー・ユエ(Wu Yué)による作品を収録している。
本誌には、18区の地図・ガイドブック・ポスターが付属しており、この地域の魅力的なスポットをたっぷり紹介する。作者は、しばしば見過ごされがちな18区の新しいパリを体験する旅へ読者を招待する。
Youssouf Fofana:
パリ発のライフスタイルブランド「Maison Château Rouge」の共同創設者兼クリエイティブディレクター。パリ出身であり、セネガルにルーツを持つフォファナのコレクションの多くは、これらの遺産の融合をテーマとしている。兄弟と共に、特にパリ18区の若者たちを起業を通じて支援する組織、「United Youth International(Union de la Jeunesse)」を設立した。また、「ジョーダンブランド(Jordan Brand)」との5年間にわたるコラボレーションの一環として、2024年パリオリンピックに向けたジョーダンブランドのプロジェクトのクリエイティブディレクターを務めている。
SIZE GUIDE
SIZE |
23cm x 29.5cm |
なるべく正確にサイズを計測しておりますが 個々の商品により、多少誤差が発生いたします。 表記サイズより1から2センチ前後することが御座いますのでご了承下さい。
DETAIL
softcover + poster (inserted)122 pages
230 x 295 mm
color, black and white
2024
published by A MAGAZINE CURATED BY
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